白拍子・亀菊ゆかりの社で奉納舞踊   澤田作哉さん自画像    
 
   「承久の乱 発端の地」とされる大阪府豊中市の椋橋総社で5月28日、恒例の奉納舞踊が行なわれた。大樹に囲まれた本殿の舞台で桐流分家緑栄会の6人が艶やかな舞踊を演じ、観客を魅了した=写真。

 奉納舞踊は、舞踊家天羽(あもう)祥瑞さんが主宰する「天羽会」が平成初めから開催。祥瑞さんの没後は、門下の天羽祥緑さんの「桐流分家緑栄会」が引き継いできた。椋橋総社への奉納は、氏子に会員が多くいることも一因だが、何より祥瑞さんの総社への思いが大きかったと弟子の祥緑さんに説明いただいた。後鳥羽上皇の寵愛を受け椋橋荘の管理を任された白拍子・亀菊にちなんだ「出世亀菊天満宮」があり、舞踊家として祥瑞さんはよく参拝していたという。

 祥瑞さんは長唄「白拍子亀菊と椋橋の荘」を創作し、平成16年に国立文楽劇場で上演した。舞台の関係から総社では演じられていないが、この地の歴史や風土への心情が作品に込められた。

 今回の奉納の舞踊は「恋は根岸」に始まり「青海波」で締める7曲で、情緒豊かで親しみ深い演目だ。白拍子・亀菊ゆかりの社の本殿に設けられた、5月の青空とクスノキの青葉の下の舞台。「境内が一番美しい季節に毎年舞踊を奉納できて嬉しいです」と祥緑さん。芸事にふだん縁のない私もひき込まれた。     =2023年5月28日取材 (小泉 清)
  

     
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