★商業捕鯨再開、今こそ鯨肉の味わい知って | |||||
おしかホエールランドで昼を過ぎたので、隣の「Kottu」に寄った。飲食店が3軒あり、当然鯨料理が売り物だ。どれも魅力的だが、名前に惹かれて「黄金寿司」に入って、刺身定食を注文した。いろいろ質問したところ、店長の古内勝治さん(77)に丁寧に説明してもらった。 ◇見栄えも楽しめる洗練された料理に 右は赤身に脂肪分の白身をはさんだもの。「赤身だけでは少し頼りないので」とのこと。しょうが醤油でいただくが、その通り、両者がまろやかに溶け合ってええ塩梅の味になっている。中は背の肉、左は少し蒸したさえずり(舌)。蒸したさえずりも逸品だ。 味はもちろんだが、赤身・白身のとりあわせ、ほんのり薄紅のさえずりと色合いがいい。刺身は細い竹の上にのせており、「においが残っているかもしれないのでクリアするため」とのこと。実際においは残っていないが、心遣いは嬉しいし、松葉、笹の葉もあしらわれていて見栄えがする。 南氷洋捕鯨の活躍を教材に取り上げた教科書で学んだ私にとって、鯨肉は小学校での鯨カツ、冬場のハリハリ鍋となじみはある。ホームの大阪府豊中市の「豊南市場」に鯨肉店もあるので、今も時たまコロ、オバケ、鯨ベーコンをたしなんでいる。ただ、道頓堀の「徳家」が閉店するなど料理店で鯨肉を食べる機会が暫くなかったので、舌も目も楽しませる洗練された鯨料理には、目を開かされた思いがした。 ◇初めて口にする場?手頃な新メニューも この鯨肉は商業捕鯨で出港した船団が北海道網走沖で捕ったミンククジラ。「地球温暖化の影響で鯨の餌になる魚が北上するので、鯨も北海道沖に移動する傾向です」と古内さんは説明する。 「黄金寿司」は来年で創業50年、震災後仮設商店街で営業を再開し,2019年に「Kottu」に入居し、息子の勝徳さんらと一家をあげて鯨料理に取り組んでいる。「調査捕鯨の鯨では色が黒っぽくなって見栄えがせず、『これでは…』という気持ちもありました。2年前の商業捕鯨再開でミンククジラの生の鯨肉が自由に確保できるようになったのは、鯨料理にとってのチャンスです」。 手ごろな新メニュー「鯨のユッケ丼」も開発。「ここで初めて鯨肉を食べたという人も多く、これを機会に鯨料理を評価してもらえると思っています」と竹内さんは明るい表情で語っていた。 (文・写真 小泉 清) 戻る→ 震災10年半、甦る「ホエールタウン」鮎川 ⇒トップページへ |