オオキンレイカの青葉山と麓の道 京都府舞鶴市、福井県高浜町 | ||||||||||
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そう高くなくても険しい山に登った気分になり、海の眺望も得られ、ここならでの花も見たい。こんな贅沢な願いを充たすとすれば、やはり京都府舞鶴市と福井県高浜町にまたがる青葉山(693m)か。梅雨が一服した7月13日登ってきた。青葉山は、舞鶴市に赴任していた2010年に初めて登って以来、6回は登っている山。前回は2012年7月だったが、その時は山中で、この山ならではのオオキンレイカをほとんど見られなかったので、再登頂を期していた。 若狭湾見渡す岩稜にしっかり黄金の花舞鶴側の松尾寺本堂脇から山道に入った。前日までの雨でかなり濡れた山道だが、始めは緩やかなので慣れてくる。50分ほど上がると急坂となり、ロープやはしごも使っての登高。途中ひと休み、ブナ林に入り、海が見えてきて、松尾寺から2時間弱で西峰に着いた。標高692mの頂上は社の背後の岩稜の頭で、ハシゴを登り、鎖伝いに岩をよじ登って頂に立つ。少し緊張するが、目前に広がる内浦湾から若狭湾への眺望はその価値が充分ある。岩稜を下りて南側の斜面で、固有種のオオキンレイカを探したが見つからない。諦めて出発しようとする直前、岩稜の向こうに回り込むと、しっかり黄金色の花を咲かせていた。乱獲で絶滅危惧種となっており、舞鶴市や高浜町の団体が保護や再生活動を続けているので、広く復活してほしいものだ。 ◇鎖場の緊張感和ませるイブキジャコウソウ ゆっくり休んでから東峰に向かう。白山を開いた泰澄上人が修業したという大師洞をくぐり、鎖場を乗り越える修験の道だ。東峰の手前の岩壁では、もう一度オオキンレイカが見られた。陽当たりのいい岩場にはカワラナデシコやイブキジャコウソウ=写真=が咲いていて、心を和ませてくれる。ロープはしっかりつけられ、岩も固くて崩壊していないので、ほどよい緊張感だ。 ◇山麓巡り、水上勉が教えた分校も 西峰から1時間で1m高い東峰山頂に到達。ここは若狭の国、福井県高浜町だ。いつもなら中山寺へ下りるのだが、今回は南山麓の道をたどって松尾寺に戻ることにした。北東の大飯町、小浜市方面の若狭湾の眺望を楽しみ、分岐を南西の道をとって高野の集落に。2009年に閉校した青郷小学校高野分校の校舎が残っている=写真。作家・水上勉が大戦中の1944年から1年半、代用教員として高野、今寺から通う低学年の児童を教えていた学校だ。 ここからかつての巡礼道をたどって今寺の集落へ。二本の大銀杏が立つ熊野神社で一服した。ここからは西峰に最短ルートの登山路が通じており、8月6日の祭りでは今寺の人々が上がって頂の社で神事を行う。ここからは、平坦な道を快適に歩いて松尾寺に戻った。登山道だけでなく、山麓の道も楽しめるのも青葉山の魅力だ。 (文・写真 小泉 清) ⇒トップページへ |