オオキンレイカの青葉山と麓の道 京都府舞鶴市、福井県高浜町   

・時期 オオキンレイカの花期は7月
・交通 東舞鶴駅発の京都交通バスで松尾寺口下車、徒歩40フン。少し遠いがJR小浜線松尾寺駅から徒歩。いずれも便数は少ない
車なら。舞鶴若狭道→R27→府道564号

・電話 
舞鶴観光協会(0773・75・8600)
若狭高浜観光協会(0770・72・0338)
松尾寺(0773・62・2900)
中山寺(0770・72・0753)
    =2021年7月13日取材

青葉山西峰山頂直下の岩稜の陰に咲いていたオオキンレイカ
 
 
  そう高くなくても険しい山に登った気分になり、海の眺望も得られ、ここならでの花も見たい。こんな贅沢な願いを充たすとすれば、やはり京都府舞鶴市と福井県高浜町にまたがる青葉山(693m)か。梅雨が一服した7月13日登ってきた。青葉山は、舞鶴市に赴任していた2010年に初めて登って以来、6回は登っている山。前回は2012年7月だったが、その時は山中で、この山ならではのオオキンレイカをほとんど見られなかったので、再登頂を期していた。

若狭湾見渡す岩稜にしっかり黄金の花

舞鶴側の松尾寺本堂脇から山道に入った。前日までの雨でかなり濡れた山道だが、始めは緩やかなので慣れてくる。50分ほど上がると急坂となり、ロープやはしごも使っての登高。途中ひと休み、ブナ林に入り、海が見えてきて、松尾寺から2時間弱で西峰に着いた。標高692mの頂上は社の背後の岩稜の頭で、ハシゴを登り、鎖伝いに岩をよじ登って頂に立つ。少し緊張するが、目前に広がる内浦湾から若狭湾への眺望はその価値が充分ある。

 岩稜を下りて南側の斜面で、固有種のオオキンレイカを探したが見つからない。諦めて出発しようとする直前、岩稜の向こうに回り込むと、しっかり黄金色の花を咲かせていた。乱獲で絶滅危惧種となっており、舞鶴市や高浜町の団体が保護や再生活動を続けているので、広く復活してほしいものだ。  

◇鎖場の緊張感和ませるイブキジャコウソウ

  ゆっくり休んでから東峰に向かう。白山を開いた泰澄上人が修業したという大師洞をくぐり、鎖場を乗り越える修験の道だ。東峰の手前の岩壁では、もう一度オオキンレイカが見られた。陽当たりのいい岩場にはカワラナデシコやイブキジャコウソウ=写真=が咲いていて、心を和ませてくれる。ロープはしっかりつけられ、岩も固くて崩壊していないので、ほどよい緊張感だ。

  ◇山麓巡り、水上勉が教えた分校も

  西峰から1時間で1m高い東峰山頂に到達。ここは若狭の国、福井県高浜町だ。いつもなら中山寺へ下りるのだが、今回は南山麓の道をたどって松尾寺に戻ることにした。北東の大飯町、小浜市方面の若狭湾の眺望を楽しみ、分岐を南西の道をとって高野の集落に。2009年に閉校した青郷小学校高野分校の校舎が残っている=写真。作家・水上勉が大戦中の1944年から1年半、代用教員として高野、今寺から通う低学年の児童を教えていた学校だ

 ここからかつての巡礼道をたどって今寺の集落へ。二本の大銀杏が立つ熊野神社で一服した。ここからは西峰に最短ルートの登山路が通じており、8月6日の祭りでは今寺の人々が上がって頂の社で神事を行う。ここからは、平坦な道を快適に歩いて松尾寺に戻った。登山道だけでなく、山麓の道も楽しめるのも青葉山の魅力だ。 
 
(文・写真  小泉 清)

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