明ケ田尾山〜鉢伏山のヤマツツジ 大阪府豊能町、箕面市           

・時期 5月

・交通
北大阪急行千里中央駅前から阪急バス希望ケ丘4丁目行き乗車、高山下車
・電話  豊能町役場(072・739・0001)
    =2020年5月15日取材

鉢伏山山頂の広葉樹林の中で開花するヤマツツジ
 
 
 新型コロナウィルス禍、「大阪モデル」達成で通天閣と太陽の塔の「緑」が点灯し、少し出口がのぞいたような気になったが、和歌山や滋賀などへの県外移動は地元の人の不安もありまだ難しそう。ということで、5月15日はは4〜5月で4回目の箕面・裏山歩きを行った。

   青葉の中に花くっきり、シカの食害で激減

  今回は高山右近の生地・大阪府豊能町高山から南下して箕面の滝に至るコース。バスを下りると旧高山小学校のフェンスに「右近の郷」という看板が掲げられている。まずバス停北側の丘に上がり、この里で最後の潜伏切支丹二家族の墓と伝えられる「高山マリアの墓」=写真左=にお参りする。高い柵に囲まれた農地で畑仕事をしていた年配の女性が道を教えてくれた。近年、山里ではシカやイノシシ、サルの農作物への獣害が大変。サルはちょっと留守にするとシャッターを開けて家に入り込み、糠みそを食べてしまったりするという。

 バス停に戻ってむら道に入ると切支丹禁制のお達しを木札に書いた高札場=写真右=がある。「慶応三年 太政官」とあるので、維新後もしばらく切支丹禁制が続いていたことがよくわかる。

  集落を抜けて山道に入る。植林地の間を登り、稜線上の分岐から北に進むと、箕面の奥山で最も高い明ケ田尾山(あけだおさん、620m)山頂。目立たない頂で眺望はあまりきかないが、コナラ、リョウブなど広葉樹林に囲まれた奥深い山だ。あと少し北へ進むと、樹林の向こうに止々呂美の集落が見える。

  分岐に戻って尾根道を南へ1時間ほど進み、少し西へ上がると鉢伏山山頂(604m)。青葉の中にヤマツツジの花が浮かぶように咲いていている。このコースを通してコバノミツバツツジの花はすでに散り、モチツツジは終盤で、ヤマツツジが花盛り。道沿いの四つ辻にも見られるが、上の方の枝にだけ残っていたり、ネットに囲まれていたり少し変だ=写真左。木の足下にも草がなく、土がむき出しになっているところが目立つ。

 「サンカヨウの花を見に来た」という年配の登山者に聞くと、「10年前はもっとヤマツツジがもっと多く広がっていましたが、シカが増えすぎて花を食べてしまうのです。生え始めた若いササも食い荒らすので裸地が広がっています」とのことだった。シカが嫌うというアセビだけは青々と茂っていた。裸地化が進むことで、山が水害にますます弱くなることが心配だ。

 後はエキスポ90みのお記念の森から自然探勝路を通って箕面ダム、政の茶屋、箕面大滝=写真右=のコース。谷沿いにはウノハナやタニウツギの花が見られる。けっこう歩きごたえがあった。滝まで来ると、さすがに人通りが多いので、街中なみに常時マスクをつけて用心する。時節柄、医療に負荷をかけるリスクの強い高度で濃密で登山は控えるべきだと考えるが、山岳4団体が「登山は感染拡大につながるのでコロナ終息まで自粛を」という一律の声明を出すのは拡大解釈を招くので疑問だ。無理のない安全な山歩きで、近場の山の魅力を見直す機会にすればいいと思っている。     (文・写真  小泉 清)

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