泉南飯盛山の山桜、キブシ 大阪府岬町           

・時期 11月中旬〜12月上旬
・交通 南海電鉄本線孝子駅下車
・電話  高取町観光協会(0742・55・1150)
    =2020年3月26日取材

標高は低くても深い泉南飯盛山の山腹を染める山桜
 
 
  2週間前の俎石・大福山登山で自然度が高い紀泉アルプスが気に入ったので、3月26日、さらに和歌山寄りの泉南飯盛山(324m)へ登り、下山口に近いみさき公園にお別れ遠足するルートをとった。

  暗雲晴らしたい 紀泉の青い海と山と花

  大阪府最南端の駅、南海本線孝子(きょうし)駅を降りる。孝子とは珍しい地名だが、平安時代の有力者。橘逸勢(たちばなのはやなり)が謀反の疑いで流罪された時、娘が後を追って病死した父を弔い、その父娘がの墓がここに残されているという。役行者創建と伝えられる高仙寺に参拝し、高野山(たかのやま)へ山道を上がっていく。紀州備長炭の原木で知られるウバメガシの樹林が続き、シダが広がって紀州の山の雰囲気だ。ほどなく標高285mの高野山山頂。「秋分の日に西に沈む夕日を拝むため多くの人が登ってきた」と書かれた説明板がある。今は木が周囲に繁茂していて眺望はきかない。

 このあたりから常緑樹のヒサカキが黄緑の小さい花をびっしりつけ、、キブシの黄色の花が青空に映える=写真右。山桜とコバノミツバツツジはともに満開、常緑樹の中で競艶している。

◇山頂に紀淡海峡の異国船見張る番所

  ご飯を盛ったような形の飯盛山が見えてくる。札立山への分岐を北にとって、駅から3時間少しで標高385mの山頂に到達。上り下りが多いので、低くても登りがいはある。山頂からは左手の多奈川火力発電所から岬町、阪南市の海岸をはじめ大阪湾が一望でき、彼方には淡路島が広がる。幕末に番所が設けられて、紀淡海峡に入る異国船を見張っていたという。

 ひと休みしていると、40歳ほどの男性が登ってきた。コロナ問題で会社の仕事も減っているので休みを取って、最近は待っているこの山域に登りに来たといい、下り道について教えてもらった。続いて小学生の姉妹の孫を連れてきたご夫婦。成長するにつれてあまり寄らなくなってきたというが、きょうは久しぶりの引率で張り切って昼ごはんの火をおこしていた。

 ウバメガシ林に始まる下山路もけっこう登り返しがある。下り一方の楽勝とはいかないが、登りとはまた違った姿の山桜も楽しめ、1時間半かけて住宅地に下りた。

◇コロナに屈せず みさき公園ラストラン

 海に向かってみさき公園までもう一歩き。入園者数の減少に歯止めがかからず、南海電鉄が2020年度末で廃止を決めていたみさき公園。コロナの影響で2月末から休園となり3月23日に再開したばかりだ。北摂育ちの私は連れて行ってもらったことも引率したこともなかったが、南大阪で育った知人は「子供のころよく出かけた」とみんな懐かしがるので、最初で最後の訪園となった。

 検温、消毒を済ませて入園。観覧車=写真左=は動かさず乗り物定員も減らしてという制約付きながら、多くの家族連れが来ている。2003年に閉園した宝塚ファミリーランドに比べて敷地が広く、キリンなど動物ものびのび歩いている。海と山にはさまれた好立地なので、ひらパーのようなゆる系遊園地として存続できなかったのかとも思えるが、広い分管理費もかさみ、動物の獲得も難しくなってきた状況では、経営的には限界だったのだろう。動物は白浜のアドべンチャー・ワールドなどが引き取り、敷地が岬町に譲渡され、町立公園としては残るのは救いだ。      (文・写真  小泉 清)

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