震災25年の冬の高取山 神戸市 | ||||||||||
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寒中の1月10日になっても、近畿では雪山を登れそうもない。2020年初登りは、震災25年前ウォークを含めて神戸・高取山(329m)にした。神戸の中でも特に大きい被害を受けた長田の街から最も近く見える山だ。 岩稜、疎林の道上がれば見渡せる街地下鉄妙法寺駅からほぼ六甲全山縦走路に沿って須磨側から登る。地下鉄と高速道の下をくぐると真言宗の古刹・妙法寺があり、石段を上がって参拝した。住宅街を抜けての野路山公園を東に折れると、山道に入る。低山とはいってもしばらく岩稜が続き、一か所鎖場もある=写真下左。華やぎはないが、冬の疎林の間を落ち葉を踏んで歩けば凛とした気持ちになる=写真左。山道を1時間弱上がって荒熊神社。三等三角点があり、須磨アルプスの山並みがよく見える=写真欄外。主のような黒猫が日向ぼっこしていた=写真欄外。ここからは一歩きで高取神社奥宮=写真下右。急階段を上がった社の裏に山頂の碑があった。東に進むと高取神社本殿で、神戸から大阪に連なる街並みが一望できる。雪はなくても、空気が澄み切って眺望が通るのは冬に山に登るごほうびでだろう。 ◇神さまいっぱい、「神戸らしい神戸」を願う 高取神社の祭神は武甕 新春祈願の後は、長田神社に下るルート。表参道には毎朝登山の利用者らが使う茶屋が並んでいて平日でも上り下りする人が多い。ただ、もう少し自然林の中を歩きたくなったので、白川大明神の手前で参道を離れ、しばらく山道をたどって山の余韻を楽しむ。やがて参道と再合流し、高取神社の参拝口に下り立ち、苅藻川に沿って長田神社に着いた。 奥の方に小さな社があり、「神撫山遥拝所」と書かれた立札がある。高取山そのものがご神体として崇められていた証だろうが、すぐ前面にマンションが建てられていて高取山が全く見えなくなったのは残念だ。そのためか遥拝所の存在も気づかず通り過ぎる参拝者がほとんどだ。 まだ昼過ぎだったので、新米のころ参道沿いに住んでいた長田神社から新長田まで街歩き。阪神大震災復興からのシンボル、鉄人28号越しに高取山を仰ぎ=写真左、本場のそば飯を食べてゴールとした。ゆうに二人分の分量があるが、神戸ならではの濃厚で辛いソース「どろ」をたっぷりつけると食が進む。やはり、土地土地の独特の雰囲気の中で食べる味の違いはあると思う。実際、長田の牛すじ肉はうまい。 午後2時を過ぎても客が入れ代わり立ち代わり入って来る。「タンク筋の向こうに県と市の合同庁舎ができたので、人の出入りが増えてきました」。なかなか復興が進まなかった長田区南部に明るい兆しも見えた。 (文・写真 小泉 清) ⇒トップページへ |