天ケ滝新道から霧氷の金剛山へ 奈良県五條市、御所市 | ||||||||||
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2月12日朝は冷え込むと聞き、標高1125mの金剛山でも霧氷を見られられるはずと早起き。同じ登るなら大和側からの未踏コースをと五條市の北宇智駅(JR和歌山線)から歩き出した。金剛山への古い参詣道・小和道を西に進む。 大和から河内へ 峠に達すれば銀の華が光る国の登録有形文化財・藤岡家住宅の前を通り、御霊神社という広い神社に参拝する。聖武天皇の皇女で皇后に上り詰めながら、権力争いと陰謀で宇智の地に幽閉の中に死んだ井上内親王の怨霊を鎮める社だ。この系統の神社が周辺に広がっているのは興味深い。社殿の真後ろの北西の位置には金剛山がそびえている=写真右。金剛山は鎮魂の山でもあるのだろうか。ここから道は北へ折れる。古い立派な民家が続き、紅梅が枝を広げていた=写真左。江戸時代の石標に導かれて小和道を忠実にたどりたいところだが、御霊神社のわきの人に聞くと「小和道は今は通る人が少なくなって荒れている」とのこと。少し西側を通る天ケ滝新道を選んだ。登山口には車が3台停めてある。ここまででも駅から1時間20分以上、登り坂でけっこうしんどいが、「大和の山麓の道は歩いてこそ」と思い直す。 ここから30分少し、尾根道を外れて谷筋に下りると天ケ滝=写真右。さすがに凍結はしていないが、落差20mの二段の名瀑だ。登山道に戻り、後はひたすら登る。 標高850mくらいになると山道をうっすら雪が覆っている。沈むほどではないが、氷化していて滑って転ぶと怖いので軽アイゼンをつけ慎重に。やがて主尾根に合流し、ほどなく伏見峠に達する。大和と河内を結ぶ重要な峠だ。やれやれと一息入れると、周りの落葉広葉樹の枝に霧氷の銀の華が光っている=写真左。北宇智駅から3時間半登ってきたかいがあった。 後は勝手知った道。湧出岳の三角点、葛木神社、転法輪寺に寄って国見城址から霧氷の樹林の向こうの河内平野を展望した。大気が澄んだ冬は展望も良く、富田林市のPLの塔もくっきりと見える。 下りの正面道は、階段が整備されてかえって膝にはきつい。それでも霧氷の散った氷片をサクサク踏みしめる感触は快い。1時間ほどで千早口に下りた。 (文・写真 小泉 清) ⇒トップページへ |