暖冬の中の寒波、新雪踏んで大峰・和佐又山頂へ                                    
 暖冬の中の急激な寒波来襲。奄美大島で115年ぶりに雪が降った1月24日、大峰山系の和佐又山(奈良県上北山村)=1344m=で新雪の山歩きを苦しみ楽しんだ。

  「全国的に海も山も荒れるおそれも」との天気予報にたじろぎながらも、「今日行かないと、また暖冬に戻っては」と早起きして出発。しかし、バスが平野部を走っているうちからでチェーンを巻いたり、安全第一の運転で登山口着は10時過ぎ。林道も凍結しているため登山口からアイゼンをつけて慎重に歩き始める。

  ◇落葉広葉樹林の中、沈んでは抜いて歩く

   途中から谷沿いの道に入ると、昨晩から降り積もった新雪が踏み跡を消し、歩いても沈む=写真右。スノーシューをつけるほどではなくても、さっそく難行の見通し。谷の流れにはところどころ、つららが垂れ下がっている。初めは男女2人ずつの4人グループについて行ったが、途中で休憩されたので、(当方より)若手の男性に続いて進む。

 雪のついた広葉樹林の向こうに峰々が見えて快い=写真左。しかし、雪を踏んで沈んでは抜いての歩き方になるので疲れも3倍、先行者に遅れないよう上がるのが精いっぱいだ=写真下。幸いピンクのテープがあったのでわかりやすかったが、これがないと谷筋から尾根への上がり方が雪道ではわかりにくかっただろう。

  ◇大普賢岳のどっしりとした姿に歓声

  和佐又山ヒュッテ付近の広場まで無雪期の倍以上かかり、すでに午後1時。帰りのバスは4時出発なので、休憩もそこそこに“頂上アタック”。最後は結構急登で雪も締まっておらず、灌木をつかむような形で登って2時前に頂上に立った。間もなく後続のグループも到着。先行の男性を含め登頂を喜び合った。この時はガスがかかって周囲の眺望は効かなかったが、しばらく待つとガスが晴れ、北西に大普賢岳(1780m)がどっしりした山容を現した=写真下。反対の南東側でも大台ケ原方面の山並みが見えてきた。

 帰りは広場まで引き返して和佐又山ヒュッテに寄る。スノーシューがたくさん用意されていて、家族でのスノーシューを使った周辺の雪歩きが冬の目玉になっているようだ。しばらく一服して林道を50分ほど下って登山口に戻った。

  この山は10年ほど前の冬にも登ったが、雪が解けた泥道であまりいい印象が残っていなかった。今回は、風がそれほど吹き上げなかったためか霧氷は見られなかったものの、新雪を踏んでの登高。しんどくても、気持ちが新たになる。前後に全国で雪での被害が続いたのは残念だったが、やはり日本の四季は雪が降って積もってこそだ。

                         ◇

 アクセス:2016年は1月23日(日)〜2月21日(日)の土・日祝日に和佐又山登山口行き霧氷バス運行。近鉄八木駅、橿原神宮駅、大和上市駅発。  注意:  アイゼン、スキーストックをはじめ、雪山装備で。
                
                                          =2016年1月4日取材 (文・写真  小泉 清)
                            
                             ⇒トップページへ