小塩山〜ポンポン山のカタクリ、ヤマブキソウ 京都市西京区      

・時期 カタクリ、イチリンソウ、ヤマブキソウなどは4〜5月


・交通
阪急京都線東向日駅から阪急バスで南春日町下車
・電話  大原野森林公園 森の案内所(075-333-8229=水・土・日・祝
    =2021年4月8.10日取材

大原野森林公園の窯ケ谷で咲き始めたヤマブキソウ
 
 
 京都西山の小塩山(642m)からポンポン山(678m)を4月上旬の二日間に分けて巡った。ヤマザクラ、コバノミツバツツジに加え、カタクリ、イチリンソウ、ヒトリシズカ、ヤマブキソウなど多彩な春の花々を楽しんだ。

   西山の春を飾る花々 次々と

  4月8日、南春日町バス停から大原野神社に向かう。境内のソメイヨシノはほぼ散っていたが、きょうは例祭の日。大和舞の奉納があるということで心が惹かれるが、先を進む。正法寺の前を通って右へ折れ、京都縦貫の上を横切ると、竹林の間の道をゆっくり上がっていく。

 やがて山道になり、コナラやクヌギが続く雑木林が続く。モチツツジの花が咲き始めていた。南側の金蔵寺から上がって来る山道を合わせて西へ上がっていく。天皇陵道という名の通り、小塩山山頂近くにある淳和(じゅんな)天皇陵に続く道だ。


 ◇保護活動実り群生のカタクリ開花
 
  歩き始めて1時間半ほどで電波施設の管理道に合流するが、山頂の手前にカタクリの群落=写真=が広がっている。岩手県の早坂峠、葛城山山頂付近と何度か見てているが、いまここで出会えるとは思わなかった。うつむき加減に開く淡い赤紫色の花はいつ見ても飽きない。

 路上の掲示板に「次代につなげたい小塩山カタクリの谷」とあり、西山自然保護ネットワークがカタクリとギフチョウの保護活動を紹介している。

 西側に進むと淳和天皇陵=写真。淳和天皇って誰?と調べると、桓武天皇の第三皇子で平安時代の方。巡察吏を諸道に派遣したり大規模な勅旨田を設けたり地方や農業を重視した優れた君子だったようだ。840年に崩御、陵墓は設けず火葬して散骨するよう遺言していたといい、今の陵墓は幕末に築かれたという。再評価されるべき天皇かもしれない。

 ◇ゴルフ場化から守られたポンポン山

 ここから南西に下ってポンポン山へ向かう。山道に沿ってコバノミツバツツジの花が開き、遠くにヤマザクラの花も見える。

 やがてポンポン山への登り口にもなる大原野森林公園の入口に着く。バブル経済がはじける1980年代、このポンポン山麓にゴルフ場が計画され、下流域の高槻、京都市の住民が反対、これを受けて京都市が不許可にする一方、業者から計画用地を買収し、自然公園とした。

 この日は平日なので管理員もおらず、ゲートを通過し、西周遊路から山頂をめざす。フクジュソウの群生地を経てリョウブ林=写真=を通り、あとひと頑張りすればポンポン山頂に達する。
生駒山、比叡山などなじみの山々の姿が見える。

 展望を楽しんだ後、東周遊路から下山にかかるとすぐ左手に、またまたカタクリの自生地が広がい、周遊路を一巡して見る。地元NPOが地権者の協力で全長230mの防獣ネットをめぐらせて鹿の食害から守るように整備してくれている。

 東周遊路は森林公園入口に下りるが、途中ここから東に分かれて金蔵寺への道をたどる。京の西を鎮護する寺として栄えた金蔵寺も今はひっそりしていいる。本堂のわきの石段を上がり山道をひと登りすると、今朝上がってきた天皇陵道に合し、今度は里へと下っていく。同じ道なのだが、午後5時を過ぎて夕闇が迫り、落葉が滑りやすくなって意外と時間が経つように感じた。

 西山に日が沈む光景を眺めながら、出発地点の南春日町に戻った。

 ◇森林公園の谷筋に貴重種いっぱい

 2日後の4月10日、再びポンポン山に向かった。大原野森林公園の中でも、窯ケ谷に貴重な植物が集まっているが、事前に立ち入り申請が必要とされているとのことで、管理人がいる土曜日に再訪した。

 前回同様、天皇陵を上がるが小塩山は通らず、途中、南側山腹を通って森林公園に向かう近道をとる。ここはほとんど通る人がなく少し荒れているが、その分静かで、落ち椿の真紅が映えている。

 森林公園受には地元の管理員の女性二人がおられて、所定の申請書に記入して窯ケ谷に入る。清流を飛び石伝いに何回か渡り返して進むと、花々が姿を見せてきた。清楚な5弁の白のイチリンソウ=写真、ニリンソウ静御前の白拍子姿にちなんだヒトリシズカ、表現しがたい薄紫色のヤマルリソウ=写真=と続く。奥へ進むと黄金色の花のヤマブキソウが群生している。十分堪能するまで沢筋をつめてから東尾根へ上がった。

 今回は山頂は省き、東尾根から金蔵寺へ東海道自然歩道に沿って進んだ。金蔵寺を参拝後は自然歩道の里道をゆっくり歩いて南春日町に戻り、前回と合わせ、西山の山と里をたっぷり味わった。 
(文・写真  小泉 清)


 
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