早春の俎石山、大福山 阪南市〜和歌山市           

・時期 3月中旬

・交通
南海本線箱作駅から南海ウィングバス南部で桃の木台7丁目下車
・電話  阪南市役所( 072・471・5678
    =2020年3月12日取材

俎石山へ上がる尾根道の自然林を染め始めたコバノミツバツツジ
 
 
   新型コロナウイルス同調自粛乗り越え登山、大谷山、生駒山に続く3週目は大阪・和歌山府県境を走る紀泉アルプスの俎石山(まないたいしやま)と大福山だ。同行はかつての職場関係の先輩お二人。テニス、孫守り、会合世話役とアクティブシニアで、いつもは綿密な日程調整が必要だが、今は市の施設が全部閉められ会合もあらかた中止なので、すんなり決まった。

   自然林が包む葛城修験の道 

  登山口は、関空の埋め立て土砂採取地に造成した阪南スカイタウン。登り口がいろいろあって少々迷っていると、「お彼岸前に仏さんにお供えする花を探しに」という地元のベテラン山ガールが先導してくれた。山道に入り、しばらく急登すると尾根に。杉やヒノキの植林地がなく、コナラ、シロダモ、リョウブなどの自然林が続き、落ち椿の道を快適に歩く。緑の中にコバノミツバツツジが早くも開花=、ミヤマシキミのつぼみも膨らんできている=写真右。北西には大阪湾が広がり、遠くに淡路島が見える。

 ◇大阪府ただ一つの一等三角点本点


   目標の俎石山は標高420mながら、大阪府で唯一という一等三角点本点が立っている。=写真左。ひと休みして南に尾根道を進む。鞍部からひと登りして大福山山頂(427m)。手前に葛城第三番経塚の石柱があり、友ケ島に始まる葛城二十八宿の歴史を留めている。南に紀伊水道、紀ノ川、高野山系に連なる山々と紀州の風景が見渡せる=写真下。西側には多奈川発電所が手に取るように見える。

 後は府県境を越え、渡辺峠からは尾根を外れ、八王子神社跡を通って谷沿いに快適な下り道。和歌山市内と思えないのどかな山里に下るが、西側の別の山道が金網で封鎖されていて妙な雰囲気だ。和歌山市の企業が山林を買収していて、太陽光パネルを広範囲に並べるメガソーラー基地の計画があるそうだ。「絶対反対」を訴える直川地区連合自治会の看板が道沿いに続いていた。太陽光発電は福島原発事故の後、クリーンエネルギーとして優遇措置を受けてきたが、メガソーラー基地の乱立が山崩れなどの災害や環境破壊を招いている事態が何件も起きており、地元の懸念も杞憂ではないだろう。

 ◇コロナ閉塞感の中 心強い身近な山

 トータルの歩行時間5時間ほどでJR阪和線六十谷(むそた)駅に着いて無事終了。泉州・紀州の早めの春を楽しめた。道中出会ったハイカーはほとんどが地元の中高年グループ。「こんな時は近くの山に登るに限りますわ」と話していた。低くても自然度が高い山が地元にあるのは心強いだろう。自治体の体操教室が長期間休止になったり、過剰に感染をおそれて家に閉じこもって高齢者の体力低下が進んでしまうことが懸念されるが、こうした人たちには杞憂だ。街中でもこれ以上春を遅らせず、子供たちも明るい新学年を迎えられるように願った。 (文・写真  小泉 清)

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