古座川の淡水魚、オオサンショウウオ  和歌山県古座川町             
                
  
 
    
古座川水系で最大級とみられる大物のオオサンショウウオ。岩の間で落ち着いた構えだ

  ・交通案内   古座川河口へはJR紀勢線古座駅(特急停車)下車

電話 観光一般は古座川町役場(0735・72・0180)
      リバーダイビングについては「DIVE KOOZA」(0735・67・7775)
     
                 =2015年9月15日取材=
        
  日本きっての清流といわれる南紀・古座川で9月15日夕にリバーダイビング。上流部では水中の岩陰に潜む世界最大級の両生類・オオサンショウウオと初対面した。中流部ではアユのほか岩肌を登るボウズハゼなど多様な淡水魚や甲殻類見ることができた。

   清流の中に驚きの出会い

  河口部の「DIVE KOOZA」から車で1時間、七川ダムを過ぎて支流の平井川をさかのぼると、川の流れはますます清冽に深緑色を増す。水もずっと冷たそうだが、リバーダイビングの名ガイド・岡チンの先導で思い切って潜行。岩陰の下でライトを照らしてもらうと、そこにオオサンショウウオが…。

  このオオサンショウウオは体長50cmくらいでまだ前座格。さらに奥に進んでいくと、水底の岩と岩との間から幅20cmを超す大きな顔がど~んと登場した。けし粒のような目が二つ付いているが、見てるのかどうか。こちらがうろちょろしながら、フラッシュでバンバン撮っても動じない。

  ◇体長140cmの大物、岩の間に潜み動ぜず

 と見ていたら岩の間から突然出てきた。思ったより長くて体長140cmはありそうだ。四肢は短足ながら動きは結構速い。あっちこっち回って岩と岩との間に入った。10分後にまた現れたが、次は洞窟の奥の暗闇にするりと入り込み、我々の前から姿を消した。

 大きさはもちろん、群れずに岩の間にどっしり潜み、威厳と貫禄たっぷり。さすが国の特別天然記念物だ。オオサンショウウオの体長は最長で150cm程度とされる。「古座川水系で最大級、オオサンショウウオの寿命は60歳を超すといわれ少しずつ成長するので、かなり歳とった大物でしょう」とのこと。

 オオサンショウウオは夜行性のため、ふだんはナイトダイブで行い、午後8時ごろに潜る。この日は、強風のため海に潜れなくなり、「9月ごろは夕方に出てくる確率が高い」という判断で急きょ組み込んだものだが、大物に出会える結果となり、名ガイドに拍手。もちろん、夕方方お出まししてもらったオオサンショウオには感謝感激。「棲家をほんまにお邪魔しました」と、40分のダイブを終えた。

 水温は18~19度、中流域に比べても3度低かったが、「川の王者」に夢中で冷たさを感じなかった。

  ◇吸盤で岩壁登るボウズハゼなど多士済々

 これに先立ち、河口部から6キロの中流部の直見(ぬくみ)でもリバーダイビングした。ここは昨年9月19日に続き2回目。漁期が9月末で終わるアユがいっぱい泳いでいた。今年は天然アユの遡上が多く放流アユは少な目にしたとのことだったが、どちらが天然アユかはわからない。古座川のアユは9月から落鮎となって汽水域に下って12月ごろまでに産卵。かえったアユは海に下って育ち、翌年3月ごろ遡上を葉始める。

 おもしろいのはボウズハゼ。なんと垂直に近い岩肌を登っている。腹ビレと口に吸盤があり、大滝も越えていくという。草食系で岩についたコケを食べているそうだ。ゴクラクハゼは名前の通り頬の周りの唐草模様の斑紋、胴には黒褐色の縦じまと青い斑点がある。ハゼ科のヌマチチブは水中に沈んだ木の幹に寄り添っていると、なかなか気づかない。ほかに見られた淡水魚はシマヨシノボリ、カワムツ。体の岩の割れ目の奥にいるテナガエビ、川底の石の陰に潜んでいたモズクガニも見つけてもらった。

 ◇アユ引っ掛けるアユカケ、河川改修で絶滅のおそれも

 残念ながら昨年潜るとすぐ迎えてくれたアユカケは今年出会えなかった。体長20cmほどのカジカ科の魚だが、形も色も周囲の石そっくりで微動だにせず、大きめのヒレを示してもらってやっとわかった。

 エラの上の突起の一つが釣り針状で、これでアユを引っ掛けて食べてしまうユニークな魚。冬になると河口部に下り産卵、春先に川を遡上する。ただ、ボウズハゼのような吸盤がないため、堰堤を越えられない。そのため河川改修の進展で全国的に生息数が減少、和歌山県でも絶滅危惧種1に指定されている。古座川では棲み続けてまた姿を見せてほしいものだ。

 古座川沿いに住む人々はアユやウナギの伝統漁法を受け継ぎ、川魚を大切に扱いながら利用してきた。ボウズハゼなどはウナギ漁の餌として使われてきた。
 その古座川でさえ、「七川ダム建設の影響でそこから下ではカワウナギが激減した」という指摘もあり開発の影響と無縁ではない。また古座川沿いのむらは、他の山間地と同様、人口減や高齢化に悩んでいる。
一方で、オオサンショウウオが潜む川に近い平井の里では、女性を中心に柚子の栽培、加工で知られるなど、この地の風土を生かした取り組みが続けられている。

 川魚をはじめ多様な水生生物が棲み続け、それを活用する人々がいる古座川であってほしい。
            (文・写真  小泉 清)                                                            →トップページへ