移民船出の地・神戸で国花イペの花満開                                                
 ブラジル移民が出港まで日本での最後の日々を過ごした神戸移住センターが生まれ変わった「海外移住と文化の交流センター」(神戸市中央区山本通3)。4月26日に開かれた20015ブラジル移民祭で訪れると、前庭でブラジルの国花・イペの黄色い花が満開となっていた=写真左。
 
 1908年の「笠戸丸」以来、神戸はブラジル移民の出港地となり、1928年には全国から集まった移民が準備をし研修を受ける国立移民収容所が完成した。戦後改称した神戸移住センターは1971年に閉鎖されたが、ブラジル移住100周年を機に新装オープンした。驚いたのは、建物が旧移住センターの形をそのまま留めていることだ。多数の移民が一時に暮らすため頑丈に設計されていたためか、1995年の阪神大震災の激震でも倒壊しなかった。

  イペは移住100周年を機にセンター前と、神戸港まで移民がたどった鯉川筋を中心に植樹された。ノウゼンカズラの仲間で、紫、白、薄紅色などさまざまな色の花があるが、やはりセレソン(サッカーブラジル代表)の色にもなっている黄色がブラジルのイメージにもっともふさわしい。初夏を思わせる晴天となった26日は、そのイペの花が枝先に群がるように咲き=写真右、青空に映えていた。ブラジルでは向こうの春の9〜10月に咲くので、神戸で先に花見を楽しめた。

  ◇ブラジル人小中学生、さすがのリズム感

 移民祭はNPO・関西ブラジル人コミュニティ(CBK)が毎年この時期に開いており、CBKが支援をしている関西在住のブラジル人小中学生、その父母、ブラジルをはじめ南米への移住経験者、ブラジル大好きの市民ら120人が参加。まず小中学生6人が「おじいちゃん、おばあちゃんへの手紙」を読み上げた。両親が日本に来てから生まれ、まだ祖父母に会ったことがない子供が多い、ブラジルでの生活を築いてきた祖父母への尊敬と感謝の気持ちをしっかりとつづっていた。神戸出身でブラジルで音楽活動をしている中平マリコさんのショーでは、女の子が自然に踊りだしたり、男の子が武道カポエイラの動きを披露したりと、ブラジル人ならではの明るいノリとリズム感を見せていた=写真左。

 その後、ところどころにイペの花見をしながら鯉川筋を下り、移民船乗船記念碑の立つメリケン波止場へ。移民船を模した観光船に乗って構内を一周、ブラジル移民だけでなく、戦後パラグアイに移住した親に連れられてその地で育ち成人後に日本に戻った人たちの経験も聞くことができた。

 日本にいるブラジル人の子供たちには、いろいろな経験を重ねて、「ブラジルも日本も」足場に持って成長してほしいと願った。


                                   =2015.4.26取材 (文・写真  小泉 清)

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