たくましく町民ボランティア・・・和歌山・古座川町                季節を歩くロゴ

 9月29日に那智勝浦町の被災地で泥出しを終えた後、紀勢線の各駅停車で古座に向かった。紀勢線の紀伊勝浦ー串本駅間は26日に運行が再開したばかり。この区間で通学や買い物に使う人も多いようで、車内でも「動くようになって良かったね」という声がよく聞かれた。

 古座駅から古座川を東に渡って東岸の旅館に一泊、翌30日朝、旅館の自転車を借りて1キロほど上手の古座川町の公民館に置かれた古座川町ボランティアセンターをまず訪ねた。

 那智勝浦を一端離れて古座川町に単独で出かけたのは理由がある。この町は今年だけでも5月と7月に2日間ずつ訪れ古座川の魅力を体感した地。台風12号でも気になったが、死傷者はなく、当初は報道も少なかったことから被害がそれほどでもないかと軽く考えていた。しかし、実際は相当の浸水被害があったことを近隣の方の手紙などでわかり、不明を恥じて手伝えればと思っていた。

 センターには、台風被害がわかった直後からバイクで駆けつけ、集会所に泊まって活動を続けているという岩手県の若者ら遠方からのボランティアが7、8人集まっていた。他方、町内で被害が少なかった地区、浸水などの被害は出たが早めに復旧した地区から来た人も目立つ。私がペアを組む72歳の男性も「まず浸水した近所の復旧を隣人として手伝った後、町内の他の地区に行こうとボランティア登録しました」と元気いっぱい。男女とも年配の方が中心だが、通勤中の交通事故で首や肩を痛めてリハビリ中ながら「できることからしたい」と参加している若手の男性もいる。
古座川町のボランティア、年配の町民も奮闘
 この日活動するのは、全世帯26世帯の大半が床上浸水した潤野地区で、ペアの男性の車に乗せてもらって行く。地名の通り古座川沿いではまとまった平地のある農山村で、屋内の泥出しは終わったが、田畑のゴミ処理などが残っているという。地区の集会所から依頼者の畑に出向く。山から下りて農作物を食い荒らすシカやイノシシを防ぐ網の柵が張り巡らされているのだが、そこに洪水で押し流されてきた木の枝や葉、草が大量にひっかかっている。それを根気よく取り除くのが第一の仕事だ。先に進んでいくと、柵が水の勢いで支柱ごと倒れている個所が多く、ここは若手を中心に立て直す。還暦に近い筆者も、ここでは相対的に若手といえる。

 午後の作業で柵を一巡すると、洪水で倒され流されてきた大木が畑を覆っていた。一度に移動できないので、のこぎりで幹、枝を切りながら焼却地まで運んでいく。山仕事をする人が多いのか、町内の人の切り方は巧みで、町内と町外、老若が混じったボランティア集団=写真=の活動は順調に進んだ。町内といっても、和歌山市の元サラリーマンで、定年退職後に釣りを思い切り楽しむために古座川町に土地を買って移り住み、集落の老人会の仲間2人と